特型駆逐艦電はこんな艦 

スポンサーリンク
ピットロード電 駆逐艦

駆逐艦電(いなづま)というは特型駆逐艦の第3グループ。いわゆる暁型の船です。
4隻造られた暁型の4番艦、つまり最終艦になると同時に特型の最終艦でもあります。

特型駆逐艦はどちらかというと軍艦ファンの間でもマニアックな船でした。

でもゲームの「艦隊これくしょん」が登場して一気に知名度が上がりました。
「艦これ」については根っからの軍艦ファンからは肯定的でない意見も出そうですが、今まで知名度の低かった船の知名度を上げたという功績は無視できないと思います。おかげで艦船模型の世界も活気付いて、マイナーな船もキット化されるようになりました。これは軍艦ファンにも嬉しい恩恵になりました。

今回駆逐艦電を作るわけですが、選んだ理由は僕がゲーム開始時に選んだ船だったからという理由です。

でも、とっかかりはゲームでしたが艦船模型としてちゃんと造ります。

スポンサーリンク

特型駆逐艦が生まれたわけ

知ってる人は今更だけど、知らない人のために駆逐艦電について説明します。

電と書いて「いなづま」と呼びます。
「でん」ではありません。でも漢字変換では「でん」で入力してる人多いんじゃないかな。

昭和3年から6年の間に24隻も竣工(完成)した特型駆逐艦の最終艦です。

世界中の大国が軍備拡張を行っていた大正時代。さすがに、再現なく軍拡を続けていたら経済が破綻するというので軍縮条約が結ばれることになりました。1922年に出来たワシントン海軍軍縮条約(ワシントン条約)では主に国ごとに持てる戦艦の量が制限されました。この条約で日本はアメリカやイギリスの6割に押さえ込まれました。一見すると不平等な条約の様に思えますが、国力を考えたらむしろよくやったと言える内容です。10倍の国力を持つ国相手に、2倍に満たない戦艦の量で認めさせたんですから。

とはいってもそれで我慢する海軍ではありません。戦艦の量が制限されたら、制限を受けない船を強くすればいいと考えたんです。まあ、今も昔も人間の考えることは同じ。法律で規制がかかったら別の商品で売り上げをのばすという企業と同じですね。それはともかく。

日本は制限を受けない巡洋艦と駆逐艦の強化に乗り出しました。それで出来たのが特型駆逐艦です。特型という呼び方自体が特別を表してます。

世界に衝撃を与えた特型駆逐艦

どれほど特別だったかのか

一世代前の睦月型と

特型の最初のグループ、吹雪型。

このふたつを比べてみましょう。

艦形名 吹雪型(特型I) 睦月型
基準排水量 1680t 1315t
全長 118.5m 102.7m
速力 37ノット 37.25ノット
航続力

14ノットで

4500海里(約8300km)

14ノットで

4000海里(約7400km)

武装

12.7cm連装砲

×3機(合計6門)

12cm単装砲

×4機(合計4門)

 

7.7mm単装機銃

×2機

7.7mm単装機銃

×2機

 

61cm3連装魚雷発射管

×3機+予備魚雷9本

61cm3連装魚雷発射管

×2機+予備魚雷6本

 

どうですか?特に主砲(12.7cm砲と12cm砲)と魚雷の数が違いますね。
特型はそれまでの睦月型に比べると1.5倍に増えてます。

いきなり5割増しですよ。大きさは3割増し弱なのに武器は5割増しになってるんです。

当時の世界の常識からは考えられないくらいの武器てんこ盛りの船だったんです。

この重武装ぶりは世界の海軍関係者にショックを与えて、次の軍縮条約(ロンドン条約)で駆逐艦も制限される原因になったとさえいわれてます。

この特型駆逐艦はその後太平洋戦争まで続く日本海軍の駆逐艦の基本となりました。ロンドン条約で駆逐艦は小さくなりますが、その後の条約の制限を受けない時代に造られた朝潮型~陽炎型~夕雲型は特型を基本に改良を加える形で設計されています。

特型は世界の駆逐艦建造史において特別な存在なんですね。

とはいっても特型が設計されて約20年後の太平洋戦争の頃になると、さすがに最新の船には性能では負けてしまいます。現代でも駆逐艦で人気があるのは陽炎型や秋月型の高性能なものが中心です。

 

←駆逐艦の人気者は雪風

 特型は知る人ぞ知る的な存在

 

でも古くても太平洋戦争で活躍した船もあり、一部では根強い人気がある船もいます。軍艦にかぎった事ではありませんが、結局は物を生かすも殺すも使う人しだいって事なんでしょうね。

特型駆逐艦の分類

特型駆逐艦は24隻造られましたが、数が多いので途中で何度が設計に改良が加えられてます。大きく分けて第1グループから第3グループの三つに分けられます。

 

 

←画像は特型Ⅱ 綾波

 

 

 

 

 

第1グループ  特型駆逐艦I型(吹雪型) 10隻
  吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲、磯波、浦波
 (浦波はⅠ型を改良したⅡ型の船体が使用されているので改Ⅰ型とも言います)

 第2グループ  特型駆逐艦Ⅱ型(綾波型) 10隻
  I型の船体を改良したもの、新型の主砲を装備。  
  綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、朧、曙、漣、潮
 (朧~潮の4隻は煙突等が違ってたのでⅡ型後期型とか改Ⅱ型とか呼ばれます)

 第3グループ  特型駆逐艦Ⅲ型(暁型)  4隻
  新型のボイラー(つまりエンジン)搭載。船体、艦橋にも改良が加えられている。
  暁、響、雷、電

大きく分けると3つに分かれますが、細かく見ていくと更に少しずつ違ってたりもします。
更に建造後も何度が改良がされています。

 

電はこんな船

というわけで、今回作るのはその特型駆逐艦第3グループ、暁型4番艦電です。

特型駆逐艦で有名なのは、第三次ソロモン海戦で大きな戦果をあげた綾波。何度も被害を受けながらも終戦まで生き残った響。大きな作戦に参加しながらも終戦まで生き残った潮、等です。

電はそれらの船に比べると派手な戦歴はありませんが、各地の攻略作戦や船団護衛を行い地道な活動を続けていました。

電の参加した大きな作戦は次のようなものがあります。

スラバヤ沖海戦。
昭和17年2月ジャワ島攻略のため上陸部隊を派遣。上陸部隊を乗せた輸送船団を護衛する日本海軍艦隊と、それを阻止しようとする英、米、蘭、豪の連合軍艦隊との間で戦闘が勃発。

このとき電は、足型、妙高、雷と共にジャワ島方面へ向う途中でした。電達の部隊が到着したときには既に敵の半数近くが那智、羽黒らによって沈められていましたが、那智達も弾薬が残り少なくなっていました。合流した両部隊は共同で重巡洋艦エクセター、駆逐艦2隻を撃沈しました。このスラバヤ沖海戦で付近の連合軍艦隊は駆逐され、ジャワ島への上陸を成功させたのです。

 

 

スラバヤ沖海戦は
妙高型重巡洋艦
4隻がそろった作戦でもありました。
←は最も活躍した羽黒

 

 

 

戦闘の後、雷と共にパトロール中に海域で漂流している敵兵を発見し救助を行ってます。その後この話は最初に発見した雷の事ばかり有名になりましたが、電や上記の日本艦艇も行っていた事はあまり知られていません。

第三次ソロモン海戦
昭和17年11月。既に米軍に占領されていたガナルカナル島を奪還するために上陸作戦が行われることになりました。この上陸作戦に先立ってガ島の飛行場を砲撃するため、戦艦比叡、霧島、軽巡洋艦長良、14隻の駆逐艦からなる第11戦隊が派遣されました。電は姉妹艦の暁、雷と共に参加しています。飛行機の使えない夜間に砲撃を行おうとしましたが、レーダーを実用化していた米艦隊に発見され、戦闘になりました。この戦闘で米側に重巡洋艦1隻、駆逐艦4隻撃沈。重巡2隻、軽巡1隻、駆逐艦3隻大破(後に軽巡1隻は日本側の潜水艦が撃沈)の損害を与えましたが、戦艦比叡が大破航行不能になりやむなく自沈。暁と夕立二隻の駆逐艦が沈没、雷と他の駆逐艦2隻も被害を受け戦線離脱しました。

 

 

 

←米巡洋艦を撃沈したものの
太平洋戦争で日本側で最初に
沈没した戦艦となってしまった比叡

 

 

 

 

 

上陸という目的を達成できなかった日本軍は一旦は退きますが、第8艦隊と第2艦隊も参加する事になり、再度上陸作戦を実施する事になりました。

第8艦隊が飛行場砲撃に成功しますが、巡洋艦で編成された第8艦隊では期待通りの効果は挙げられず、直に飛行場を復旧させた米軍によって爆撃され大損害を受けます。

電の所属する第11戦隊は第2艦隊と合流し再びガ島を攻撃します。この時も米軍のレーダーに発見され先制攻撃を受けます。反撃した日本軍は米側に駆逐艦3隻沈没、駆逐艦1隻大破させ、戦艦サウスダコタを一時的に戦闘不能に追い込みますが、残っていた戦艦ワシントンと復旧したサウスダコタによって戦艦霧島が沈没させられ。上陸作戦は失敗に終わります。残った船は撤退。撤退する部隊の中に電はいました。

なお、この時戦った戦艦ワシントン、サウスダコタは第二次大戦中に就役した新型戦艦。これを上回る戦艦は日本には大和型しかなく、30年近く前に造られた作られた比叡、霧島では敵う相手ではありませんでした。

その後は輸送船の護衛任務が主な役目となります。資源を運ぶ輸送船の護衛は駆逐艦をはじめとする小型艦の重要な役目でした。そして多くの船が犠牲となったのです。そして昭和19年5月、電はフィリピンとボルネオ島に囲まれたセレベス海で船団護衛中に米潜水艦の雷撃を受け沈没しました。

とまあ、どちらかというと重要な役割を担いつつも派手な戦歴のない電は通好みの船だったのですが、ゲームの影響で一気に知名度が上がりました。

ピットロード製 駆逐艦 電 を使うのです

今回僕が選んだキットはピットロードのものです。

他にもタミヤから出てますが、古いので今回は使いません。でもうちの棚にはタミヤの特型が眠っているのでそのうち完成させようと思います。

ピットロードの暁型は2007年に発売されたときは「響」と「雷」だけでした。
でも今では同型艦4隻とも発売されています。(パッケージが変わっただけですが、やはり艦これの影響でしょう)

暁は開戦時の姿を再現しています。

 

響、雷、電は対空装備の強化された大戦後期の姿を再現しています。

でも中に入っているパーツは同じです。どちらを買っても開戦時と対空装備強化時を作ることが出来ます。

でも組み立て説明書には開戦時か対空兵装強化時のどちらかしか書いてません。よほど船に詳しくないとパーツを見てこれがどこに使うのか分からないと思います。さらにややこしいことに暁型のキットなのに吹雪型と綾波型のパーツも入っているのです。同じ金型でいろいろな船が商品展開できるようにするためです。

なので、素直に開戦時を作るなら暁、対空装備強化時を作るなら響、雷、電を買ったほうがいいです。

暁型はみんな形が同じなのでパーッケージの名前に関係なく暁、響、雷、電を作ることができます。一応船体に名前を張るためのデカールが付いてますが、戦時中はみんな名前を消していたので持ち主が「電」といえば「電」になります。

定番のキットの他にエッチングパーツ付きや、新WW2日本海軍艦船装備セット7と同じ物が入ったものもあります。キット単体でしか売ってなくても、エッチングパーツや装備セットは売ってるのであとで買いそろえば同じ物が作れます。

今回僕が使うのは新装備セット付きの電です。

ピットロード電

では次回から製作に入ります。

以上、タカフミでした。

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました